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8.アヘン成分

アヘンはソムニフェルム種として知られるケシから採れる乳濁液である。

ケシ科には六つの属があり、さらに、六つの種がある。

ソムニフェルム種が要するに「アヘンの採れるケシ」であるが、セチゲルム種のケシも多量のモルヒネを含む。

ブラクテアトウム種のケシは貴重なアルカロイドであるテバインを含んでいる。(モルヒネは含まない。)

実際、多くのケシがアルカロイドを含み、その中のいくつかはケシ科以外には殆どみられない。

アヘンはソム二フェルム種のケシの分泌液である。

ふつう、この分泌液はホワイトのクリーム状なのであるが、桃色のアヘンは、特定のケシが特定の成長段階の時に分泌されるみたいで、特異な化学組成を反映してる可能性もある。

新鮮な乳濁液は苦く、新鮮な血液、薄い糊と同じ程度の粘性だ。

一般に滑らかな均質性だが、写真でおなじみの海外のケシから採れた、アヘンは塊のようにみえる。

opium 阿片(アヘン)

アヘンは空気に接触するとすぐ、乾いて褐色の樹脂状となり、球状、棒状、変幻自在に成型できる。

アヘンは地域によって異なり、レンズの形、棒やさかなのカタチなど様々である。

十九世紀のインドから中国へと送られたアヘンはボールのようにキロぐらいの重さで箱の中に仕切られていた。

アヘンアルカロイドの花形のモルヒネは、薬学に革命をひきおこしたが、アヘンに含まれているアルカロイドはモルヒネだけではなく、最低でも三十種の化学物質が含まれると思われる。

モルヒネ、コデイン、テバインの三つが最重要視されているが、その中でも特にモルヒネが最も、強力なアヘンの成分なようだ。

モルヒネはアヘンの質量の僅か10%程度に過ぎないが、効果の程は、同じ質量のアヘンのおよそ十倍の力である。

1803年、ドイツのゼルチュルナーによって単離されたモルヒネはアヘンほか、鎮痛剤を評価する基準になった。

モルヒネはすぐに薬品としてのアヘンの地位を奪った。

何千もの薬の成分としてもちいられるようになり、皮下注射の導入で代謝によってモルヒネの大半をほかの物質に変えてしまう肝臓を避けることができた。

ヘロインはモルヒネをアセチル化させるという比較的単純な工程でつくられる。

1874年に発見された。

ロンドンのセントメリーズ病院でだが、アスピリンを開発した、ドイツのバイエル社が熱心な開発を行った。

最初、鎮咳薬としてであった。

 モルヒネが1803年に単離されて以来、四十種類近いアルカロイドが発見された。

これらのアルカロイドは二つに分類され、フェナントレン系とベンジルイソキノリン系である。

習慣性があったり、強力な薬の合成に関わるアルカロイドを含むのはフェナントレン系の方だけである。

ヘロインはモルヒネ分子をいじってつくられた最初の半合成アヘン剤であり、後の多くのアヘン剤のさきがけとなった。

コデイン、テバインからはさらに多くの半合成物質がうまれる。

テバインについては興味深い現象がある。

テバイン自体に麻薬成分は含まれてはいないが、ベントレー化合物として知られる数百の化学物質の基礎になっている。

その中の一つがエンドルフィンで、おそらくモルフィネの千倍から三千倍の力がある。

治療薬としてのエトルフィンの使用量はマイクログラム単位であり、重量比ではLSD−25にもまさる、世界一強力な薬だ。

もう一つのアヘンの成分パパベリンには、少し面白い用途がある。

パパベリンを尿道やペニスのつけ根に注射すると勃起するのだ。

この治療法はインポテンツに悩む男性には朗報であろう。

エンドルフィンに加えて、エトルフィン、パパベリンの神秘は、アヘンが単なるモルヒネの原料だけではないことをハッキリしめしている。

すくなくともアヘンは鎮痛剤や、人力車を引く苦力が苦しみを忘れるための薬以上のものであろう。

モルヒネはアヘン剤の科学の第一歩であった。

コデインの鎮痛効果は、肝臓がコデインを代謝してつくるモルヒネに由来すると思われる。

事実、ヘロインはモルヒネの一変種であることが解っている。

こうして、自然状態では考えられないほどの多量のモルヒネを脳に送り込めるのである。

ヘロインを摂取すると、十五分以内にそのすべてがモルヒネとモルヒネの代謝物に姿を変える。

本当のところ、モルヒネとヘロインに共通する欠点の一つが作用時間が非常に短いことである。

六時間以上は持続せず、通常はもっと短い。

即ち、鎮痛、中毒、そのどちらでも一日に数回モルヒネを摂取する必要があるのである。

ヘロインもモルヒネ同様、即効性があるが、より強力だ。

少なくともモルヒネの三倍の力を秘めている。

ヒドロモルフォン。

有名なジウラジッドのことである。モルヒネの十倍も強力で、ヘロイン同様モルヒネ分子から誘導される。

opium 阿片(アヘン)

メピリジン。別名デメロール。

手術前に用いる薬として一般的であり、病院ではしばしばコデインに代わる鎮痛剤として用いられる。

1939年にドイツで開発された完全合成アヘン剤第一号だが、効力はモルヒネの僅か六分の一である。

しかもモルヒネと違うところは、この薬は神経性があり、過剰摂取は死に直結したり、あるいは慢性的な障害を可能性もある。

天然アヘン剤ほどのもなく快感もなく、ジャンキーからは「間抜けオイル」とさげすまれている。

街の闇化学者がつくるメペリジンの類似品は、人によっては急性のあるいは慢性のパーキンソン病を引き起こすこともあり、危険である。

フェンタ二ール。

この薬はメペリジンと同じ部類ではあるが、モルヒネの50倍の効力があり、鎮痛薬としての効果が非常に高い。

また皮膚から 吸収されるというメリットがあり、三日間続けて鎮痛するときなどは、フェンタノールを含むシップがしばし使われる。

知識のない密売人が弱いヘロインの効き目を上げるためフェンタニールを混ぜたりしてこれが問題になったりしている。

ほんの少し混ぜただけでも死に至るため、何百人のヘロイン中毒患者が命を落としている。

フェンタニール含むヘロインはチャイナ・ホワイトと呼ばれたりするがこれをマスコミがスーパーヘロインであるかのように取り上げたりしているためだ。

ヒドロコドン。これはアメリカでは三級指定麻薬であり、強弱すべての痛みを和らげる目的で咳止めシロップや鎮痛薬に広く使われる。

化学構造はコデインと酷似している。

ヒドロコロンは組織からヒドロモルフォンの形で排出されるという興味深い特徴もある。

オキシコドン。

これはチロクス、パーコセット、パーコダンに含まれている。

オキシコドンはハリウッド人のお気に入りらしく、オキシドコンはテバインからつくられる。非常に強力である。

ペンタゾシン。

これは興味深い合成アヘン剤で、かつてヘルスケア専門家の間だけで大人気を呼び、乱用された。

トリペレナミンという抗ヒスタミン剤と混ぜたものは、「ティーンズ・アンド・ブルース」と呼ばれ、ヘロインによく似た効果があるとされ、鎮痛剤としてはモルヒネの半分に過ぎない。

ロペラミド。

これはイモディウムADに含まれており、高揚感をもたらす種類の薬ではないが、人によっては穏やかな多幸感が生じる構造的にはフェンタニ−ルとメペリジンに似ている。

特筆すべきは、ロペラミドは、「貧者のメタドン」としての役割を果たしている。

通常の使用量より多く使用すると、この薬はアヘンの禁断症状を止めることができる。

モルヒネ中毒者のサルの禁断症状を抑えることが証明されてる。

人間でも同じ効果があり、街のジャンキーは、政府が供給し監視するメタドンに代わる市販薬として用いている。

安価でもある。

液状のロペラミドは、錠剤よりも早く吸収され半減時間は約十一時間である。

メタドン。

興味深い、合成薬の登場である。

メタドンは化学の独創的な創造物であり、政府公認のヘロイン代用薬として使用されているため、ありとあらゆる厄介な噂につきまとわれている。

中にはむかしはヒトラーにちなんだ名前もついていたという逸話もある。

今では、メタドンは、ジャンキーがヘロインに手を出すのを防ぐ薬として使用される。

又、モルヒネと違い、作用が長時間持続し、ガン患者に対する鎮痛剤としても使われている。

半減期はなんと50時間にも及ぶことがある。

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メタドンと関連する別の化合物にレボ・アルファ・アセチルメタドールと呼ばれるものは、持続時間はさらに長く、レボ・アルファ・アセチルメタドールの持続時間は48時間から72時間にも及ぶ。

メタドンはトルコからアヘンが供給が途絶えた第二次大戦中のドイツでモルヒネの代用品として開発された。

アドルフ・ヒトラーの伝説はこの薬がドロフィンと呼ばれたところから派生していて、こん名前はヒトラーをたたえるものであると考えてしまった人がいるためであろう。

 しかし、その名前はかなり後でアメリカの薬品会社エリ・リリー社がラテン語で痛み「dolor」からつけたらしい。

 戦後、アメリカ人の化学チームがドイツのエルベルフェルドにあるI・G・フェルベルン社の調査を行い、見つけたものを手当たり次第に目録をつくり記録として残した。

その中に鎮痛剤10820号、別名アミドンがあった。

民間チームの責任者アーヴィン・c・クライデラーは帰国すると直ぐにインディアナ州インディアナポリスの製薬会社エリ・リリーにこの薬を持ち込んだ。

そしてリリー社は新薬を開発製造し、ドロフィンと名づけた。

今ではリリー社はメタドンの主要なメーカーである。

メタドンは麻薬の拮抗薬として作用する。

即ち、アヘン受容体に素早くはまり込んで、殆ど刺激を与えずにヘロインのような他の物質の働きを妨害するのである。

こうして、メタドンは高揚感を殆どもたらさずにアヘン剤の禁断苦しみを和らげる。

このような効果もあって、また半減期も長いため薬物乱用者はメタドンを一日一回服用するだけで、不快感や高揚感を感ずることなく日々の仕事にいそしむことができる。

プロポキシフェン。

リリー社はメタドンからプロポキシフェンという非常に効果の高い合成アヘン剤を開発した。

ダルボンとダーボセット有効成分である。

この二つの錠剤は鎮痛剤として大変人気が高いが、効力はアスピリンと変わらないとされる。

たぶんアヘン特有の心地よい副作用があるためより強力であると感じるのだろう。

メタドンと同じく、ダーボセットも麻薬の拮抗薬として作用するためジャンキーのリハビリに使用される。

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